
JAL 割引にまつわる数々の資格
JTBが提唱する「交流文化ビジネス」の戦略JTBには、旅行に関係する周辺商品や高付加価値サービスなどが豊富だ。
しかも、ほとんどが自社ブランドだから利益率も低くない。
「PLUS商品(旅や生活にプラスになる各種商品.サービス)」と呼ばれているトラベラーズチェックやクレジットカード、国際キャッシュカード、それに旅行券や共通商品券といった有価証券類、旅行保険や観光券類、スーツケースや土産物まで、数え上げればきりがない。
こうした旅行周辺の商品を提案し、販売することによって、収益アップが期待できる。
古い考えを脱ぎ捨て、ビジネスモデルの変革を促せばよいのだ。
戦略の二つ目は、新規事業の育成だ。
「無」から「有」を産むR&D(研究開発)はもとより、積極的に異業種他社とアライアンス(協業)を組む、M&A(企業の合併・買収)を実行するなどして、新しい価値観の創出を図ることだ。
実際、この発表からわずかの後に、異業種他社とのアラィァンスが、各方面で次々とまとまった。
郵便局に設営された旅行店舗で注目を浴びた「JTBトラベルポスト渋谷店」(○五年二月)がその一例だ。
郵政民営化前に提案されたタイアップ事業で、しかもアラィァンス先は「私企業」に限らないという印象を社内外に与えた。
戦略的なM&Aも活発に行われるようになった。
○五年二月には、環太平洋ビーチリゾートに強いツアーオペレーターでホールセラーの「R&Cツァーズ」を買収した。
航空各社のりゾート路線からの撤退が相次ぎ、取扱高で苦戦を強いられてきた中で、エリア特化の企業を仲間に取り込んだことで一気に「エリア別上位」に躍り出ることができた。
また、クレジットカード最大手のJCBと提携(○六年五月)し、共同出資による新規事業開発会社を設立して、JCBの旅行事業も傘下に置いた。
旅行ばかりでなく両社のギフト券を共通化する「ギフト券システム」を構築するなど、包括的な提携策を一気にまとめあげている。
インハゥス・エージェントの例としては、「伊勢丹トラベル」の株式の一部を譲り受け、業務提携の契約を締結(○六年二月)し、○七年五月には、「リクルート」と、国内旅行における予約通知配信ビジネスを運営する会社を共同出資(リクルート六六%、JTB三四%の出資)でスタートさせるなど、ダイナミックさが増した。
このように、今までにない激しい動きで新規事業の育成が進んだ背景には、本社に、新規事業開発の専門部隊である「事業創造本部」を立ち上げたことによる。
陣頭指揮をふるったのは、SS常務取締役である。
Sのスピード手腕には目をみはるものがあり、速攻の新規事業立ち上げは、閉塞感漂うJTBマンたちをみるみる蘇生させた。
「宇宙旅行」や「ロングスティビジネス」がその代表例で、多くのメディアが取り上げたから記憶に新しい。
三つ目の戦略は、JTBグループ全体の「企業価値を高めること」である。
日本経済新聞社と日経産業消費研究所が実施した「第一八回日経企業イメージ調査」による宇宙に旅する時代がきた「交流文化ビジネス」三つの戦略の一つにあげられた「新規事業の育成」の中で、いちばん私たちを驚かせたのが、「宇宙への旅」だろう。
○五年、当時の事業創造本部長であるSが着任して間もないころ、米国の宇宙旅行会社スペースアドベンチャーズと独占契約を結んだことで、マスコミ各社が大きく取り上げた。
宇宙体験旅行(弾道飛行)で一○万ニ○○○ドル(約ニ○○万円)と高額だが、「宇宙へも旅ができる時代を、ついに迎えた」という喜びと驚きをもたらした。
ところがこれは、たった一人の社員の発案から始まったものだった。
「それ面白いね。
やってみようじゃないか」というSの一言が、社員たちの勇気と活力を生み、誕生したのが「宇宙旅行事業推進室」だ。
と、ビジネスマンにとって「信頼性がある企業」の第四位にJTBが選ばれた。
第一位メルセデス・ベンツ、第二位トョタ自動車、第三位帝国ホテルに次ぐもので、JTBの企業イメージの高さを証明した。
ホールディング化により会社は分割されたが、「地域市場への細かな対応が、(消費者に)認知された結果ではないか」と、コメントしている。
今後は、この企業価値にますます磨きをかけることが重要になってくるだろう。
「交流文化産業」をキーワードに事業ポートフォリオをマネジメントする新生JTBグループの「全体価値」を高めるための方策として、総合企画部経営企画チームを中心に考案されたのが「事業ポートフォリオ・マネジメント」だ。
経営管理の手法の一つで、得られた数値結果は経営資源を最適配分するための指標になる。
つまり、事業ごと、グループ会社ごとに細分化して、それぞれの特性区分ごとに期待できる利益を細かく詰めていこうとい新規事業創設の極意を、のちにSは「事業部や事業推進室として統括し、営業が軌道に乗れば事業会社として独立させる。
失敗すれば、傷が浅いうちの撤退も辞さない」とし、「まずは恐れず、チャレンジさせること」と語る。
川下でお客様が来るのを漫然と待つような単なる旅行の請負人と異なり、川上に立って「人の往来を喚起する」ようなビジネスの仕掛人になることが重要だ。
要は、「需要を創出せよ」というのが事業創造本部の使命なのだ。
とはいえ、こうした挑戦ができるのも、JTBの潤沢な資金によるところが大きい。
JTBは長年、無借金経営を貫いてきた。
経営状況の悪化から非常事態宣言を社内に向け発布した○三年当時も、連結剰余金が一二○○億円と潤沢だった。
「余力があるうちにやらねばならない」という経営者判断だったのである。
「マネージメントフィー」の算出法は、本社業務をニ○○○の項目に分類し、受益度合いを売上高や要員などを基準に数値化させるというもので、フィーは全社一律ではない。
「ロイヤリティー」と「マネージメントフィー」は、資金面でも中核となる事業持ち株会社に「求心力」を持たせ、企業価値をグループ一体となって高めていこうとする考えのもとで編み出された、JTB独自の手法なのだ。
事業ポートフォリオを厳格に行うことで、「利益の源泉」がどこにあるかを突き詰めることができ、ヒト・モノ・カネという経営資源を、バランスよく配置することにも役立つ。
各社の経営状況に応じて配分をコントロールすることで、大切な経営資源を浪費させずに済むうえ、企業価値を最大化できるから、一石ニ烏の管理手法といえる。
新生JTBグループでは、中核となる「事業持ち株会社」が各事業会社からの「ロイヤリティー」を収受することは、すでに説明した。
しかし、ロイヤリティーのほかにも「マネージメントフィー」と呼ばれる手数料を各事業会社から収受する。
この「マネージメントフィー」は、事業持ち株会社の運営費に充当される。
さらにシステム経費(オペレーションコスト)も含め「メディア」を持った企業体JTBグループの一つで出版事業を手がける「株式会社JTBパブリッシング」(東京都新宿区、資本金一○億円)」は、ホールディング化の一年半前の○四年一○月に、他社よりひと足早くに分社・独立した。
旅やライフスタイルに強い出版メディアとして、JTBが現在推し進める「交流文化ビジネス」の普及・浸透を担う存在だ。
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